前編・中編と、天気やゴミ出し予定、家族の予定の表示から、Fire TV Stickでの常時表示化、電車・バスのリアルタイム情報連携までの試行錯誤を書いてきました。後編では、最終的にできあがったダッシュボードの全体像と、実際に設置してからの話、そして生成AIとの向き合い方について振り返ります。
最終的にできあがった機能一覧
現時点でダッシュボードに表示している情報は、次の通りです。
- 今日・明日の天気(気温、降水確率)
- ゴミ出し予定(今日は何ゴミの日か)
- 家族の予定(TimeTreeの公開カレンダーを埋め込み表示)
- 月の満ち欠け
- 潮の満ち引き(自宅近郊の潮位情報)
- 最寄りの電車・バスの時刻とリアルタイム運行状況
システム構成のイメージ
大まかな構成は、次のような形です。
- 表示端末:Fire TV Stick+15.6インチのモバイルモニター
- アプリ:Android向けのWebViewアプリ(ダッシュボードのURLを表示するだけのシンプルな構成)
- ダッシュボード本体:ブラウザで動くWebページ(HTML/CSS/JavaScript)
- 外部データ取得:Open-Meteo(天気)、TimeTree公開カレンダー(家族の予定)、ODPT Challenge 2026 API(交通情報)、その他の計算処理(月齢・潮汐)

特別に高度な技術を使っているわけではなく、既存の公開データやサービスを、Fire TV Stickという手軽なデバイスの上で組み合わせただけ、というのが実態に近いです。
実際にリビングに設置してみて

作っている間はパソコンの画面で見ていただけなので、実際にリビングの棚に置いて、家族が生活の中で自然に見てくれるかどうかは正直やってみないとわからない部分でした。
設置してみて良かった点は、「見に行く」のではなく「目に入る」ようになったことです。テレビの近くに置いたことで、リビングを通るたびに視界に入り、朝の身支度をしながら天気やゴミ出しの予定を確認する、という使い方が自然に定着しました。
一方で、最初は情報を詰め込みすぎていた反省を踏まえても、まだ「本当にこれで完成か」と聞かれると迷いがあります。文字の大きさや配色は季節の日照条件によって見えづらくなる時間帯があったり、TimeTreeのカレンダー表示の余白がまだ少し気になったりと、細かい改善点は残っています。「一旦形になった」というのが正直なところで、これからも少しずつ手を入れていくつもりです。
生成AIとどう付き合いながら作ったか
このダッシュボードは、ChatGPTやClaude Codeといった生成AIにかなり助けてもらいながら作りました。特に、次のような場面で恩恵を感じています。
- Android WebViewアプリのひな形や、自動起動の実装方法を調べる時間が大幅に短縮できた
- JavaScriptでのAPI呼び出しやエラーハンドリングのコードを、たたき台としてすぐに書いてもらえた
- 詰まったときに、考えられる原因の候補を複数出してもらい、当たりをつける材料にできた
一方で、生成AIに任せきりでは完成しなかった部分も、はっきりとありました。
- 何を表示し、何を表示しないかの判断:情報を詰め込みすぎて家族に不評だった経験から、「本当に毎日必要な情報は何か」を絞り込む作業は、自分たちの生活を知っている自分にしかできない判断でした。
- APIの仕様の一次情報を読む作業:403エラーの原因のように、公式ドキュメントを読み込んで一次情報にあたらないと解決しない問題は、生成AIの提案だけでは突破できませんでした。
- セキュリティ面の判断:APIキーをビルド時に埋め込む方式のリスクをどこまで許容するか、公開しない前提でどこまで妥協するかは、最終的に自分で判断する必要がありました。
- 実運用してから気づく不具合の発見と対処:画面が固まる問題や、TimeTreeのレイアウト崩れなど、実際にリビングで数週間使ってみて初めて見えてきた問題ばかりで、これは実機での動作確認なしには気づけませんでした。
生成AIは「思いついたものを形にするまでの距離」を、以前より確実に近くしてくれたと感じています。以前の自分であれば、AndroidのWebViewアプリの作り方や、外部APIとの連携の実装を一から調べるだけで挫折していたかもしれません。ただ、「何を作るべきか」「これで生活が本当に良くなっているか」という判断は、最後まで人間側の仕事として残り続けました。
使用した製品
今回のダッシュボードで実際に使っている主な製品です。
- Amazon Fire TV Stick 4K Max:常時表示用のWebViewアプリを動かすために使用しています。
- JAPANNEXT 15.6インチ モバイルモニター:リビングにテレビとは別に設置している専用ディスプレイです。
いずれも特別な機種ではなく、一般的に入手しやすいモデルを選んでいます。
おわりに
今回作ったのは、あくまで自分の家族のためだけの、本当に小さな個人開発のダッシュボードです。世の中に公開するようなアプリでも、誰かの役に立つサービスでもありません。それでも、毎朝の「あれ、今日ゴミの日だっけ?」というちょっとした確認の手間が減っただけで、作ってよかったと感じています。
生成AIのおかげで、「こういうのが欲しいな」と思ったものを実際に形にするまでのハードルは、以前よりだいぶ低くなったと実感しています。とはいえ、実機での動作確認や、表示する情報の取捨選択、APIの仕様を正しく理解すること、セキュリティ面でのトレードオフを考えることなど、人間にしかできない判断は最後まで必要でした。
この記事を読んで、「自分も家で使う小さなツールなら作ってみようかな」と思っていただけたら嬉しいです。
(前編・中編もあわせてご覧ください)